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ビジネスにおけるゴールとストーリー

仕事をしていると、やたらカタカナ語を使う人が多いと思う。「このプロジェクトのゴールは...」とか「マーケティングにはストーリーテリングが重要だ...」などなど。本当に意味が分かっていて使っているのか突っ込みを入れたくなる人も居るだろう。私としてもカタカナ語が何を意味しているのかを明確に定義しないまま使っている言葉も多いため、全く人ごとではない。他人から笑われるのも時間の問題だ。
 
正確な日本語訳が無いものや便宜上、外来語が用いられている言葉に関しては言葉の定義が違うだけで意思疎通に齟齬が生じる場合も多い。個人的にカタカナ語が定義されていれば、意思疎通に齟齬が生じた場合でも、お互いに言葉の定義を突き合わせるだけで問題は解消される。
 
そんな訳で、今回は数あるカタカナ外来ビジネス語の中から「ビジネスにおけるゴールとストーリー」について、定義を考えてみたいと思う。
 
誰に・いつ・どうなっていて欲しいのか?
 
ビジネスにおけるゴールは、ある組織、または一個人が達成したい目標や達成すべき目標として捉えられる場合が一般的である。営利企業においてはしばしば「利益の拡大」や「シェア拡大」、「顧客満足度の向上」や「社会貢献」などがゴールとして設定される。
 
これら様々なゴールを一般化すると、ビジネスにおけるゴールとは「ある時点において、誰にどの様な状態になっていて欲しいか」と定義することができる。ちなみに、一般化した意味における「誰」とは様々なアクター(利害関係者)を示す言葉であり、一個人から株式会社の様な組織、ある国家における人々など様々な対象を含む。また、「誰」とはしているが「何」でも問題は無い。
 
なお、株式会社であれば会社の所有者である株主が目指すゴールと非雇用者である労働者のゴールは異なる。各階層の持つゴールは、上位階層の持つゴールを達成するためのストーリーの一部であることもある。
 
達成したいゴールに対してのストーリーは目次の様なもの
 
ゴールに呼応する言葉としてのストーリーはゴールを達成するための大まかな流れ・目次として捉えると良いだろう。設定したゴールから逆算した、「何をどの様にして実行するのか」というアクションの全体を総称してストーリーと呼ぶ。ストーリーの中にも段階的なゴールがあり、それを達成するためのストーリもまた同様に存在する。
 
企業戦略におけるストーリは因果理論
 
企業の戦略におけるストーリーとは、企業戦略を構成する諸要素の因果関係論としても捉えられる。企業の戦略は「ビジネスモデル」と「ストーリー」によって分析することが可能であり、「ビジネスモデル」が静的なフレームワークであるのに対し、「ストーリー」は動的な因果理論である。
  

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図を見れば分かる通り、ビジネスモデルが利害関係者間の取引を静的に示したものであるのに対し、ストーリーは時間的な展開を含めた因果関係の循環図として表現されている。戦略ストーリーはビジネスの戦略を構成する要素間の時間的な「つながり」が明確に分かる。
 
図の左側はアマゾンのビジネスモデルを示したものであり、右側は戦略ストーリーを示したものである。ビジネスモデルは利害関係者を静的に配置して関係性を明確にした図であるのに対して、戦略ストーリーは「アマゾンでの購買経験が→多くの人が訪れるサイトを作り→購入者に出品するインセンティブを与え→商品が充実する。」という時間的・動的な循環が分かりやすく捉えられる。
 
【参考webページ】
■STRATEGY RETOLD: TOWARDS A NARRATIVE VIEW OF STRATEGIC
DISCOURSE